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2E24 真空管アンプ(電子ボリューム化)

前作の2E24ハイブリッド・シングルアンプのアナログボリュームを電子ボリュームに変更しました。このシャーシ用に新規に電子ボリューム基板を作成しました。それに合わせて真空管ソケット基板、電源基板も新規に作成しています。シャーシ(ケース:タカチCH7-33-17)はそのまま流用していますが、天板は無酸素銅板の3mm厚に変更しています。フロントパネルは追加工のみで前作パネルを流用できました。リアパネル、底板は無加工で流用できました。電源トランス、出力トランス、コンデンサ、真空管もそのままで銅天板に付け替えただけです。

外観

アンプ前面斜め

前作の重量部品はそのまま使用しています。天板は無酸素銅板に変更したので目立ちます。表面に防湿防錆材をスプレーしました。手持ちのHayacoat(Sunhayato製)を使用したのですが、中途半端なつや消し塗装になって、銅板には合わないようです。しかもアルコールで拭くと一発で取れてしまいました。このスプレーは基板の防錆に限った方が良さそうです。

アンプ正面

2011年7月号のMJ誌に、この2E24をOPアンプ(オペアンプ,OPamp)でドライブしたシングルアンプの制作記事が掲載されていました。2E24はゼロバイアスで使用できるので、OPアンプでドライブして直結アンプになる旨の記事です。この記事を参考にしてシングルアンプを制作しました。

アンプ右側面

DIP品のOPアンプはICソケットを使用して色々差し替えることができます。今回は記事どおりJRCのNJM2114を使用しました。

アンプ接近

電子ボリュームの回転角センサーにはロータリーエンコーダを使用しました。そのためツマミの位置で音量を想定出来ないのでLCDに設定ゲインを表示しています。

底面視

2E24基板は個別に真空管ソケットを使用しています。中央には電源基板があります。基板の中央はオペアンプの為の安定化電源です。それと電子ボリュームコントローラの為のスイッチング・レギュレータ、ヒータの為の整流回路も同一基板です。Vカットは入れていませんが、4つ分の回路が同一基板上にあります。

重量物換装

側板にはヒータ用のスイッチング・レギュレータを貼り付けています。2E24は直熱管の為、ヒータにリプルがあるとノイズとして聞こえます。

左は組立て途中の写真です。トップパネルに重量物を取り付け終わった状態です。

回路

全体の回路図

これは全体の回路図です。PDFファイルにリンクしています。基板ごとに個別に設計した回路図を寄せ集めたらA1サイズになってしまいました。少し見にくいですが、100%まで拡大してみてください。

左上に入力のフォノジャックがあり、MUSES72320の電子ボリュームがあります。OPアンプのMUSES8920で増幅とバッファリングを行い、真空管2E24へ入力します。2E24のヒータは点灯が見えないので、LED回路を基板上に載せています。
真空管基板は左右対称にするために、基板を左右に分けて設計しています。

使用した基板

2E24基板左右部品面

2E24の基板です。左右があります。

2E24基板左右ソケット面

基板のソケット側です。バナナプラグはトッププレートへ接続します。

電源基板

電源基板です。中央の放熱器にLM317,LM337の三端子レギュレータを実装しています。多回転ボリュームで電圧値を対称になるように調節します。

CPU基板top

コントロールのCPUにはR5F100GEA(RL78/G13,RENESAS)を使用しています。

CPU基板裏LCD

CPU基板の裏面側にはLCDを実装しています。16文字2行でバックライト付きです。

MUSES72320基板

電子ボリューム本体の基板です。MUSES72320,MUSES8920x2を実装しています。

電子ボリュームセット

CPU基板と電子ボリューム基板を重ねた写真です。土台になっているのはロータリーエンコーダ基板です。これらをフロントパネルに取り付けます(メーカ資料ではサイドパネル)。タカチのシャーシCH7-33-17のパネルにはM4用のタップが切ってありますので、これに合わせた取り付けにしています。

シャーシ加工

天板加工図

シャーシはタカチのCH7-33-17を使用しました。天板は無酸素銅板3mm厚をCNC加工しました。

前後パネル加工図

フロントパネルとリアパネルの寸法図です。

ユーチューブ動画

f特

WaveGen,WaveSpectraを使用して周波数特性を測定しました。USB-DAC_2E24アンプ_8オームダミー負荷_USB-MIXの構成です。USB-MIXはCLASSIC PROのアナログミキサーMX-EZ6を使用しました。USB-DACは基板キットをケースに収めた物です。USBでの入力と出力を同一の装置にすべきかも知れませんが、DACとADCで別物になりました。

MX-EZ6のF特

2E24アンプをバイパスしてDAC-ADCの特性です。仕様上22kHz以上は計測できませんが、便利さには代えがたいところです。

2E24のF特_-18dB

差し替えて2E24アンプの特性を測定しました。特に問題はないようです。

33kΩのf特

参考までに、電子ボリューム化する以前の過去の測定結果を再掲します。このとき、フィードバック抵抗は33kΩで抵抗比は33:1で、OPアンプの負帰還も33kΩなので増幅度34です。一方、今回の回路はMUSES72320のgain抵抗を使ってフィードバックをかけているので、ゲイン設定によってフィードバック量が変わってきます。前項の測定では最大ゲインでの測定です。

MX-EZ6の1kHzピーク

MX-EZ6での1kHzの特性です。3倍音の方が2倍音より少し高いようですが、それらのレベルは気にならない程度と思います。

2E24の1kHzピーク-18dB時

同じく2E24アンプを経由した1kHzです。アンプのアッテネータ-18dBです。2倍音の方が3倍音より大きくなっています。五極管接続と言えど真空管の良さでしょうか。