定電流負荷装置の制作
定電流負荷装置を作成しました。
定電流負荷:Constant Current Load
オーブントースター流用のリフローコントローラと同時開発で、基板はそれのテストとして、リフローはんだ付けしてみました。
回路
回路はFETを使った一般的なものです。電流は端子台からR1の電流検出抵抗を経由してQ1//Q2のFETに流れます。R2の制御用検出抵抗を流れた電流は端子台に戻ります。R1は正確な電流を検出してLCDに値を表示します。R2は両端の電圧が一定になるようにU2のOPアンプとFETのゲート電圧で閉ループを構成しています。この部分はアナログになるので、R1の電流センスとは分けました。
U2のAD5175は電子ボリュームです。シャントレギュレータNJM431で作成した2.5Vを分圧してOPアンプの基準電圧としています。計算上最大2.0Vなので、2/R2=20Aが最大電流です。
U1のLTC2945は真の流れる電流、およびAD変換入力を利用してFETの表面温度を計測しています。
回路図はpdfにリンクしています。
定電流とする電源電圧は、VS=2V,VGS=4V程度なので余裕をみれば最低8V程度必要です。最大電圧はLTC2945の電圧が80Vなのでそこまでは上げられますが、実際は消費電力による発熱で無理でしょう。
コントローラ電源は、ACアダプタからのDC12V入力としています。OPアンプの電源電圧は8Vとしました。デジタル系の電圧も12Vから三端子レギュレータで作成し、5VをCPU基板に供給しています。オンボードのIC用に3.3Vも作成しています。CPUとの通信はIICを使用しています。
空冷用のファン電源は12V電源から直接引いています。PC用のケースファンを想定しています。MAX6650はブラシレスモーターファン用のドライバーです。
CPU基板はリフロー炉コントローラと同じ基板です。更に言うならば、基板サイズは2E24シングルアンプと同じです。CPUは使い慣れたR5F100GEA(RENESAS,RL78/G13シリーズ)です。何年か前からこのCPUを使っていますが、最近仕入れたR5F100GEAのパッケージには型番しか書いてありませんでした。以前はロットナンバーが書いてあったと思います。どこで作ったのでしょうか。
定電流基板との接続はIIC(I2C)シリアル通信を使っています。CPU回路図ではCN8のIIC21ポートです。
サイズ
基板サイズは70x100mmです。写真はKiCADの銅箔面+サイズ画面で、1920x1080dotでスクリーンショットしています。クリック拡大できます。
基板はt3のアルミ板に固定し、FET、センス抵抗もそのアルミ板に固定しています。R1だけ基板端とネジ穴の距離が短くなっています。
その放熱用アルミ板は150x120mm,t3です。これだけでは放熱容量が不足しますので、t5のアルミ板(150x100mm)を介してタカチのEX14-7-19放熱型アルミケースに放熱しています。
図面のアルミケースは上面透視図です。大きな丸はΦ120のPCケース用ファンの外形です。基板はひっくり返して天板に取り付けています。
ユーチューブ動画
実装・組立て
基板の全景はこんな感じです。2つのFETおよび2つのセンス抵抗はまだ半田付けしていません。
横にしてアルミ板全体も写してみました。
ケースに組み入れてひっくり返して底部分から見た写真です。実際の配線状態です。2つあるFETのうちのひとつにサーミスタを固定して表面温度を測っています。このFETのジャンクション温度は150℃ですが、絶対最大定格なのでそれ以下で運用すべきです。
15V7Aのスイッチング・レギュレータの負荷に本器を接続してみた写真です。LCDエスカッションの厚みが厚くてLCDを見にくいので、斜めにして正面から写しています。
FETの表面温度が80℃で安定してきたかな、という状態です。
放熱方法、ファンのスピード制御、操作性、定格など問題が色々見えてきました。とりあえずは動作していますが、温度は何度まで許容できるのか、電流は何Aまで可能なのか、作り込みが必要です。本来であれば耐久テストをしたり、破壊検査をするのでしょうが、1台の制作ではなかなか難しいところです。実際には実使用しながら検討してみたいと思います。