6L6GBシングルアンプ

トランス、ソケット付きのシングル用シャーシが手に入ったので、手持ちの6L6GBを使ってシングルアンプを組んでみました。付いている電源トランスが6L6GCでは電流不足のようですし、EL34ではヒータ電流が不足で、6L6GBが妥当なようです。出力トランスは余裕になってしまいます。チョークコイルを他に流用したい気もしましたがせっかくその穴が開いているのでこれもそのまま、結局トランス類はそのまま使う事にしました。

回路

回路は何の変哲も無いオーソドックスなシングルアンプです。出力トランスのインピーダンスは5KΩとして使っています。この時スピーカは8Ω/16Ωの設定になります。出力管は6L6GBの三極管接続です。セルフバイアスですがカソード抵抗は1Kと1.5Kの並列で600Ωになっています。1.2Kパラでも良かったのですが、たまたま上杉氏のTAP-15(KT88シングル)の回路図を見ていたので何となくこの値にしました。抵抗値も600Ωで一緒ですがEp-Ip曲線は独自にチェックして同じ値になっただけです。

フロントは12AT7をパラレルにしています。パラにする必要は無かったのですが、MT管用の穴が2つ開いているので2管使用した為にそうなりました。気が向けばSRPPにでも改造出来るでしょうが、そこまでゲインを上げる必要も無いでしょう。SRPPでも計算して見ましたがどうしてもゲインが高くなってしまうので止めました。

出力段のEk=23Vですから、初段が50Vpp振れば良いと言うことになり、12AT7のμ=60なので半分のゲイン30倍として、50/30=1.67Vpp入力にあれば良いことになります。ゲインが高いと裸のf特が悪く(帯域が狭く)なる事は前回の6EM7で判明しています。素顔を良くしてNFBはあまりかけないようにしています。27K//240K=24.3KでAv=μxRL/(RL+rp)=60x24.3/(24.3+15)=29.6です。実測は1Vpp入力で30.4Vppでしたから計算どおりです。

調整

写真は回路図どおりのNFBをかけた時のクリップ直前の波形です。1KHzです。出力は11.7Vpp/2/1.414=4.14Vrms,4.14x4.14/8=2.1Wになります。写真と少し異なりますが、クリップ時の各電圧は初段グリッドEg=1.72Vpp,出力段グリッドEg=53.2Vpp,8Ω負荷時Eout=11.5Vppでした。GEの12AT7のEp-IpでEg=2.0Vになるように計算したつもりですがクリップが少し早いようです。実際はEH製を使ったので少しEp-Ip曲線が異なるのか、出力段の飽和に初段が引っ張られているのかどちらかと思いますが、後者の方が可能性高そうです。出力段が飽和して入力インピーダンスが変化した方でしょう。6L6のカソード抵抗を変えて実験してみれば解るのですが、変更しにくい状態なのでチェックしていません。

矩形波を見ると少しリンギングがあります。高域にピークがあると言うことなのでしょうが、これくらいなら良いでしょう。初段の出力の立下りにオーバーシュート(マゼンタの信号)があるので、その特性は12AT7による物と思われます。(6L6の入力特性かも知れませんが)

配線

回路は普通のシングル回路ですが、配線はバッチリです。CRの配置は苦労しました。この真空管の配置はCRを綺麗に置けないようです。ただし、このラグ板の置き方でCRを配置するとMT管の中央にGNDを一点アース出来ました。CRの裸線が交差している部分もあってあやういですが部品が両端で固定されているので大丈夫でしょう。普段やっている基板設計から見れば相当間隔が開いています。

アースは電源部分から左右に別れて入力部のMT管で一点になりシャーシに落ちています。この方法だとGNDがループになりますが、ループに電流が流れる部分は無いので問題無いはずです。左右共通のGNDバスを引っ張るよりは良いのでは無いでしょうか。スピーカに耳を近づけてもハム音は聞こえません。チョークコイルも良く効いていると思います。Ep供給部分の電解コンデンサの位置も気をつけていて、この効果もあります

周波数特性

マゼンタがNFBあり、黒がNFB無しです。オシロ波形のリンギングはこの高域の2つのコブから来ているようです。

使用部品について

• 初段管:12AT7(EH)
• 出力管:6L6GB(SOVTEK)
• 電源トランス:TANGO PH-100
• チョークコイル:TANGO TC-10-130W
• 出力トランス:ノグチ PMF-10Ws